医療機関承継の基礎知識(用語集)

承継の話し合いでよく出てくる言葉を、整理しました。

医療機関・医療法人の基本

医療法人のしくみ(図)

社員総会(社員)法人の最高の意思決定。理事・監事の選任、定款の変更、決算の承認など
▼ 選任
理事会(理事・理事長)法人の業務の執行を決める。理事長が法人を代表する
監事理事の業務執行と、法人の財産の状況を監査する
▼ 法人が、管理者を置く
管理者(院長)診療所・病院の管理を担う。原則として医師(歯科は歯科医師)

経営の責任と権限は法人(社員総会・理事会)にあり、診療所の管理は管理者(院長)が担います。承継では、社員・役員の交代と、管理者の交代の両方を、時期を合わせて検討します。

用語意味
診療所/病院入院用の病床が19床以下、または病床がないものを診療所、20床以上のものを病院といいます。
開設者診療所・病院を開設し、経営する主体。個人(医師・歯科医師)か、医療法人などです。開設者が変わると、廃止・開設の手続きが必要になる場合があります。
管理者(院長)診療所・病院を管理する責任者。原則として医師(歯科は歯科医師)である必要があります。
医療法人病院・診療所等を開設することを目的とする、非営利の法人。剰余金の配当はできません。
社員医療法人の意思決定機関(社員総会)の構成員。会社の「株主」に似た面がありますが、議決権は原則として1人1票です。医療法人の承継では、社員の入退社が行われることが多くあります。
理事長医療法人の代表者。原則として医師・歯科医師であることが必要です。医師・歯科医師でない場合は、都道府県知事の認可が必要です。

出資持分と法人の種類

用語意味
持分あり医療法人
(経過措置型医療法人)
出資者が、出資持分(払戻請求権・残余財産分配請求権)を持つ医療法人。2007年4月以降は、新たに設立できません。現存するものを「経過措置型医療法人」と呼びます。持分の評価が高くなりやすく、相続税・贈与税が課題になります。
持分なし医療法人出資持分がない医療法人。持分の払戻しを受ける権利がなく、解散時の残余財産は、国・地方公共団体等に帰属するのが原則です。
基金拠出型医療法人持分なし医療法人の一つ。法人の活動資金として拠出した「基金」について、法人の定款の定めに従い、返還を受けられる形態です。
認定医療法人制度持分あり医療法人が、一定の期間内に持分なし医療法人へ移行する計画を、厚生労働大臣が認定する制度。認定を受けると、相続税・贈与税の納税猶予・免除などの税制措置があります。厚生労働省の案内では、認定の期限は令和11年12月31日まで(令和8年9月15日更新の案内による)。要件・手続きは変わることがあるため、最新の情報の確認が必要です。
出資持分の評価出資持分の価値を、純資産や収益力に基づいて算定すること。相続税評価、取引価格の評価など、目的により方法が異なります。

承継の方法と手続き

用語意味
事業譲渡診療所の事業(建物・設備・契約・診療録など)を、個別に引き継ぐ方法。個人立診療所の第三者承継で一般的です。
出資持分の譲渡
/社員の入退社
持分あり医療法人で、持分を譲渡し、社員・役員を入れ替えることで、法人を引き継ぐ方法。
合併・分割医療法人同士が一つになる(合併)、または事業の一部を他の法人に承継させる(分割)方法。都道府県知事の認可などの手続きが必要です。
保険医療機関の指定健康保険での診療を行うために必要な、地方厚生局長の指定。開設者が変わる承継では、取り直しになる場合があります。
施設基準の届出診療報酬の加算等を算定するために必要な、基準を満たしていることの届出。承継で取り直しが必要になる場合があります。

M&A・交渉でよく使う言葉

用語意味
守秘義務契約(NDA)承継の検討中に知った情報を、他に漏らさないための契約。詳細情報の開示の前に結びます。
匿名の概要資料(ノンネームシート)医療機関が特定されないよう、診療科・規模・エリア等だけをまとめた概要資料。候補先への最初の打診に用います。
基本合意書詳細調査の前に、基本的な条件(スキーム、対価の考え方、時期、独占的な交渉の期間など)を合意する書面。
デューデリジェンス(詳細調査)譲受側が、財務・労務・契約・診療報酬の請求状況などを確認する調査。潜在債務を把握するために行います。
営業権(のれん)設備・資産の評価額を超える、診療所の収益力・患者基盤などに対する評価。個人立診療所の対価に含めることがあります。
クロージング最終契約に基づき、承継を実行する(対価の支払い、届出、引き渡し)こと。

※用語の意味は、一般的な説明です。法令・制度の詳細は、所管機関・専門家にご確認ください。

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